
↑阿鼻地獄絵図。阿鼻とは梵語(サンスクリット語)で無限、永遠といういみのavichiの韻を漢字に当てはめたもの。したがって阿鼻地獄を別名『無間地獄』ともいう。
場所・規模
場所は大焦熱地獄の下、欲望が支配する欲界の最下底。城の広さ80000由旬、すなわち1152000kmくらいあり、七重の鉄の城壁によって囲まれ、七層の鉄の網に守られている。下には18の隔壁があり、さらに刀の林が廻りをとり囲み、四隅には身のたけ40由旬(576km)という銅でできた巨大な犬がいる。
罪状
殺生の罪、盗みの罪、邪淫の罪、飲酒の罪、妄語の罪、邪見の罪、聖職者を汚し殺す罪、さらには父母を殺した罪を犯した者が堕ちる。現代風に言えば酒に酔っての聖職者の婦女暴行殺人及び強盗尊属殺人罪プラス詐欺罪だな。
刑期
1中劫。
劫という単位はほとんど無量の年数と言ってもよい。これまでの地獄のように、具体的年数で示すことはできない。
刑罰
ありとあらゆる罪を犯してきた人間は死後、この地獄に至るとき、まだ次の生を受ける前、すなわち中有のとき泣き叫びながらこう言う。「炎、炎、すべてが炎でみちみち、虚空を覆い、すきまがない。四方八方はもちろん地上でさえも火で覆われている。また、あらゆる地上は悪人がみちみちて、わたしの行くところもなく、ただ一人で一緒に行ってくれる連れとていない。悪い暗闇のただ中にいて、あの大火炎の燃えさかっている中に行くことになる。しかも、わたしは虚空の中にいても、太陽や月や星すら見ることもできないとは」と。そのとき、獄卒は答えてこう言う。
「この人間界の寿命が長くなろうと短くなろうと、その長い間、大火炎はおまえの身を焼き尽くすものである。愚かな者は、悪い行為を作ってしまって、今ごろになって後悔するが何にもならない。これは神々をはじめ阿修羅や健達婆や龍や鬼の類などがさせたわけでもないのだ。自分が作った行為の網の中で、自縄自縛となっただけである。それ故、だれもおまえを救うことはできないのだ。現在、おまえが受けている苦しみは、大海の水の中の、ほんの一すくいの水にしか相当しないのだ。むしろ、これから受ける苦しみは大海のように限りないものとなるのだ」と。
このように責め叱ったあとで、獄卒は罪人を引き連れて地獄に向かうが、阿鼻地獄の手前25000由旬(360000km)も離れたところで、その地獄で泣き叫んでいる声を聞き、前の地獄の十倍の恐ろしさを抱いて、もう気が遠くなり、悶絶してしまう。そして、頭を下に足を上にした逆さまの状態で、下へ下へと二千年もかかって地獄へと堕ちていくのである。
ここには18人の獄卒がいて、頭は羅刹、口は夜叉のように裂けていて恐ろしい。64の眼をもっていて、鉄丸をほとばしり散らしている。また鈎のように曲がった牙は上に突き出て、長さ4由旬(57.6km)もある。牙の先から火が流れ出ては、阿鼻地獄の城中に充満している。頭上には牛の頭が8つもあり、それぞれの牛の頭に18本の角が生えており、それぞれの角の先からは猛火を吹き出しているというすさまじさである。
また、七重の城中には7つの鉄の幢があり、幢の先端から火が噴水のようにほとばしり、城の中をいっぱいにしている。四門の上には80の釜があり、煮えたぎった銅の液体があふれ出て、地獄の中にみちみちている。一つ一つのしきりのある壁の間には、八万四千の鉄のうわばみや大蛇が毒を吐き、火を吹いて城内にあふれ、これらの大蛇が万雷のような、大きな鉄丸を雨降らす。さらに500億の虫がいて、八万四千の口ばしの先端から火を出して、雨のように降らしている。この虫が降りてくると、地獄の火はますます燃えさかり、八万四千由旬のすべてをくまなく照らし出す。八万四千というありとあらゆる苦しみのもっとも苦しいものが、この地獄に集中している。
もう何が何だかわからなくなるが、とにかくそれほどすさまじい世界なのだ。筆舌につくし難い。もうちょっと説明すると。
東西南北の四方から猛火は押し寄せ罪人を焼く。鉄の箕で熱し、さらに熱した鉄の上に置き、大きな熱した鉄の山を登っては降り、降りては登らされる。また、罪人の口から舌を抜き出し、しわがないように百もの多くの針をうって平に張り付けて、牛の皮のようにのばす。また熱した鉄の地上に横臥させ、金ばさみで口をあけ、熱した鉄丸やドロドロに熱した銅の液を口に押し込めば、口や喉を焼き、内蔵を焼けただらせて肛門から出てくるという始末である。
ここの地獄の苦しみは前の7つの地獄と小地獄のすべての苦しみの千倍にもあたる。そして、ここの地獄の罪人は大焦熱地獄の罪人を天にいるようなものだと、うらやましがるのである。
もし人間界にいるものが阿鼻地獄の臭気を嗅いだら、すべてが消え失せてしまうだろう。それほど、ここの地獄の罪人はとてく臭い臭気にみちみちているのだ。そして、この阿鼻地獄の苦悩を聞いたならば、すべてみな恐ろしさに堪えられず、聞いただけで死んでしまうことになるだろう。というわけで、ここではこの地獄について千分の一も説明していない。それというのも、とてもすべてを説明することも、聞くこともできないほどだからだ。もし誰かが説明して、ある者が聞いたとしたら、そいつは血を吐いて死んでしまうことになるだろう。
付属設備(小地獄)
ここにも四つの門の外に16の小地獄がある。その中の4つを紹介しよう。
鉄夜干食処(てつやかんじきじょ)
罪人の体が10由旬(144km)もの高さに燃え上がり、鉄の瓦が盛夏の雨のように降り、体を干し肉のように破り砕き、炎の牙のある夜干(ジャッカルのような獣)が食いかかる。放火殺人罪の者が堕ちる。
黒肚処(こくとしょ)
飢えや渇きのため、罪人自らわが身を食い、食い終わればまた生き返り、生き返ってはまた食うという繰り返しとなる、また黒い腹をした蛇が現れては罪人にまといついては食いつく。または猛火に焼かれて、鉄の釜に煮られることになる。浄財を盗んで暮らした者が堕ちる。
雨山聚処(うせんじゅしょ)
大きな鉄の山が上から降ってきて罪人を打ち砕き、砕かれるとまた生き返ってを繰り返す。また11の炎が取り囲んで体を焼く。また獄卒が体を刀で切り裂いて、その切れ目に熱い白鑞の汁を流し込む。そのため四百四病にかかって、永久に苦しみ続けることになる。他人の食べ物を取り上げ飢え死にさせ、自分だけが食べた者が堕ちる。
閻婆度処(えんばどしょ)
象のように大きい閻婆度という悪鳥が、罪人を捕らえては空中を飛び交い、やがて放して地面に落とし、罪人は砕け散る。ところが再び砕けたものが一つになり、一つになっては、また砕け散る。また刃の道があって、足を切り裂き、炎を吐く歯のある犬がやってきて、その体を噛みきってしまう。河川を決壊させるなど、大規模に人を死に至らせた者などが堕ちる。現代では無差別大量殺人テロだな。

↑阿鼻至の鉄車。罪人をこれに乗せ阿鼻地獄に運ぶ業火の荷車。


↑阿鼻地獄の責め苦。この地獄に落ちれば二度とここからは出ることが出来ない。すなわち永遠に果てることなく責めに苛まれ続ける。
以上で有名な地獄の紹介は終了。でも灼熱の地獄と正反対の酷寒の地獄もちゃんとあるんですよ!!これはあまり詳しい書面がないから書けません。
誰か知ってたら教えてね!!